4月からの最低賃金の引き上げにより、ある研究機関はタイ国内で60~70万人が失業する可能性があると発表した。また一方では、賃上げに伴う商品やサービスの価格引き上げにより、物価を0.6~0.7%押し上げるとの予測も出ている。在タイ日系企業へのアンケート調査では、78%もの企業が影響を受けると回答し、撤退を余儀なくされる企業も現れると警告を発した。
一方、ウィラポン元財務相より本音が出た。即ち、“我が国の政策に従えない企業は他国に移転すべきである”と言うのである。タイは現在深刻な労働力不足に陥っており、少なくとも1,000万人の移民労働者に頼っている。外国への工場移転を希望する企業には、政府は全面的に支援していくと言うのである。最早タイでは労働集約的な企業を支援出来なくなっている。
ウィラポン元財務相は、“タイでは全ての産業を維持して行く事は不可能になっている事を理解すべきであり、こうした企業は労働コストの安い近隣諸国に移転するべきである。タイに留まる企業は、さらなる競争力向上に向けた改革を実施せねばならない。”と結んだ。