先月の25日、プミポン国王陛下が昨年洪水で大きな被害を受けた中部アユタヤ県を訪問された。国王陛下がバンコクを離れるのは、2009年9月のご入院以来、実におよそ3年ぶりのことである。
同県では、かつて国王陛下がコメの収穫を行われた、洪水の際に一時的に水を貯水しておく農地を視察された。国王陛下は洪水被害以降、この土地の状態を大変気にされており、強いご意向もあって今回のご視察が実現した。
中部地域で洪水による大量の水を受け止め貯めておくという計画は、国王陛下が考案し、以前から実施を促進されてきたもので、タイでは「ゲーン・リン(猿の頬/モンキー・チークス)」プロジェクトと呼ばれている。その由来は、餌を与えられた猿が、いったんすべて口に入れて頬を膨らませ、あとで口から取り出し、少しずつ食べる習性と、水を貯めておくという発想が似ていることから、その名が付いたとのことである。
多くの住民が大歓声で出迎える中、国王陛下は王妃や王女と共に記念式典にご出席された。式典の模様をご愛用のカメラで撮影されたり、双眼鏡を使われたりと、国民に対して元気なお姿を見せてくれたことを嬉しく思うと共に、被災した住民も大いに勇気付けられたことと思う。