アジアの"いま"

辻本 浩一郎
2012/07/12 07:54
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望郷の念に駆られているタクシン氏を何とか穏便に帰国させようと、与党は“国民和解法案”を国会に提出した。この法案は2005年9月~ 2011年5月の間に発生した全ての政治に関する罪を免除しようとするものである。この法案が成立すれば、現在服役中の赤組、黄組の政治犯 なども釈放される訳であるが、実際はタクシン氏を無事に帰国させようとする意図が見え見えの法案である。

 

黄組は法案の審議入りに強く反発、1,000人以上が参加するデモを行ったり、議会を占領し審議を不能に陥れたりの強攻策に乗り出した。一 方、過去に判決を下した憲法裁判所は、これは司法に対する政治の不当な介入として、審議停止を命じた。

 

これに対し、政府与党の要人からは、立法権は司法権に従属しないとか、憲法裁判所の命令自体が憲法違反であるとか、裁判官は弾劾の訴追を受けると発言しているが、裁判官は憲法216条“憲法裁の採決は絶対的で、国会、内閣、裁判所、その他機関を拘束する効力を有する” の条文を持ち出し、これ等の抗議を一蹴している。インラック首相はだんまりを決め込んでおり、今後の彼女の動向に注目が集まっている。

辻本 浩一郎
コンサルタント

M&A Advisory Co., Ltd.
Executive Manager


バンコク在住14年、タイにおける日系企業のビジネスを、進出支援全般を含め、特に法務、労務、会計・税務の面でコンサルティング、サポートしている。

M&A Group : http://www.m-agroup.com/


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