先月11日、2015年の統合を目指すASEAN共同体の外相がカンボジアに集合した。外相会議で特に議題に上がったのが、この所、急速に南シナ海での露骨な権益拡大を目指す中国について。ASEAN共同体として中国の動きを牽制する決議案を採択しようとしたが、カンボジアが、領有権問題は二国間で解決するもので、声明文にそれを記載する事を強行に反対、話し合ったのだから記録に残すべきとするフィリピン、ベトナムと険悪な雰囲気となった。
ミャンマーは、“ASEANは我が国に変われと言い続けて来た。結果、我が国はASEANの利益に適う行動を行った。今、何故各国は妥協すら出来ないのか”と呆れ顔で発言した。
また、インドネシアのマルティ外相は、“こんな事はこれまでは無かった、無責任にもほどがある、ひどく失望した”と記者会見で述べ、統合まで残り3年、不安感を募らせた。
今回の外相会議は各国の足並みが乱れ、その結束に多いなる不安を残す会議となってしまった。
シンガポールやマレーシアはリーダーが引退したため弱体化し、今後のASEANを引っ張るべきリーダーとして有力候補であったタイも、タクシン氏が国外に追放されている状況下、残念ながら強力なリーダー不在を印象づけてしまっている。
ASEANは、この様な事態も想定して、以前から日本の積極的介入と、そのリーダーシップに期待したいと、ラブコールを送り続けて来たが、昨今の日本の政治家の様子を眺めていると、これまた望み薄と感じている。
2015年にASEANを統合させる事は、日本に取っても大変有益な事と思っているだけに、残念な様相を呈してしまった。また日本はアセアンを手中に収める絶好機を逃している様にも感じている。