インラック政権が誕生してから1年が経過した。実兄タクシン氏の操り人形と揶揄されながらも、その端正な美貌で総選挙に勝利を収め、インラック旋風を巻き起こした。
しかし、国会の答弁で数字を読み間違えたり、固有名詞を間違えたりして物議を醸し、読む本は女性雑誌のみ…、何よりも喋らぬ事が重要とまで言われたが、次第に間違いも少なくなり、海外よりの要人とも無難に対応し、外交でもその容姿端麗を武器に、何とか無事に過ごした一年と感じている。
就任早々の昨年10月に大洪水に見舞われたことは不幸ではあったが、経験のない彼女の対応に大いなる非難を受けながらも、その涙を流しながらインタビューに答える姿で何とか難局を乗り切った。女性の涙とは恐ろしいものである…。
与党の取り巻き連中は何とか総帥タクシン氏の帰国を実現しようと、司法や世論を敵に回し、憲法改正までして実現しようと画策して大問題となったが、この間インラック首相は何も発言をせず、沈黙を守った事は評価したい。
さしたる成果が無かったとの批判はされているが、彼女自身の運もあるのか、目下は日本からの進出や拡張が絶好調で、日本民主党の大失策の数々のお蔭で(?)タイ国内の失業率は0%となり、どちらかというと“何もする必要性が無かった”といった方が良いのではないかと思う。
最近では、最低賃金を公約通り300バーツに上げた事も影響してか、物価の上昇が目立って来ている。世論調査でも、改善すべき点の87%が物価高への対応と答えている。
首相の見た目の良さと、頑張っている姿勢が国民からは評価されているが、今後は首相の取り巻きからしつこく出てくるであろうタクシン氏帰国問題、実兄の処遇対してどの様なリーダーシップを発揮するのかという点に注目したい。
因みに、米国雑誌フォーブスが選ぶ「世界で最もパワフルな女性100人」の中で、第30位にインラック首相がランクインした。1位は独のメルケル首相、2位が米のクリントン国務長官、19位にはミャンマーのスー・チー氏、日本人女性は残念ながらゼロであった。