先月、9月19日でタクシン氏が追放された軍事クーデターから6年を迎え、赤組は恒例の集会を開催した。6年前のクーデターに並んで、2年前のバンコク騒乱の真相究明が進んでいないことに関する抗議の声が次々と上がる中、独立委員会は、その騒乱の真相究明、国民和解に向けた提言を盛り込んだ計276ページにわたる最終報告書をまとめた。
すぐさま、赤組は「報告書は公平性が欠如しており、当時のアピシット首相とステープ副首相を助ける意図があるものだ」と反発、報道陣の前で報告書を引き裂くパフォーマンスを行った。また、「赤組の中に武装集団が紛れていたとすることで、国民闘争であるにも関わらず当時の政府が実際の兵器を使用したことを正当化している。和解を促すどころか、憎悪をかき立てるものでしかない。信頼性も科学的裏づけもないので、タクシン氏はこれにコメントするべきではない」と幹部がコメントし、演出はさらに続いた。
タクシン氏はこの報告書に対する直接的なコメントは発していないが、騒乱で死亡した支持者家族に「犠牲者はタイの歴史に殉教者として名を残すだろう。彼らはテロリストではないのだ。民主主義の再建のために犠牲になった。深く感謝するとともに、遺族の面倒を見ることに全力を尽くす。自分の目指すゴールは全国民の幸福であるが、変化を嫌う人々から反発を受け、目下のタイ国内の政治的混乱を招いている。犠牲者の遺族らの支援を続け、死ぬまで味方でいる」と、暗に、報告書で赤組と武装勢力の関係が指摘されたことを踏まえた内容を綴った手紙をあてた。これもタクシン流パフォーマンスであろう。