タイを襲った過去最悪の洪水被害から1年が経過した。
洪水被害なんてどこ吹く風、日本における政策に危機感を持つ、特に中小、零細企業のタイ進出が加速しており、タイ当地では、その数に反比例する形で工業用地、工場物件、労働力不足の問題に直面している。特に深刻な問題が労働力で、目下タイは失業率0%間近と言われるレベルとなっている。
タイ政府も、あのような大規模な洪水が2度と起こらないよう、巨大予算を投入しての大規模治水工事をはじめ、防水壁の設置、ダムの推量管理など重点的に行っているが、労働者は、高待遇の国家事業である治水工事に大きく流れているようである。
また、田舎に一時帰省後、気が変わり工場等には戻らず農業に再従事する人が増えており、目下、就業者数は前年同月比で10万人増加、農業就業者は1646万人(前年同月比43万人増)、非農業は2308万人(同33万人減)となっている。
隣国からの出稼ぎ労働者も増えているが、母国におけるインフラ等大規模工事に呼ばれ、一度帰国すると戻ってこないケースも多く、今後進出される企業は、隣国に比べ高水準な賃金への対応、労働力確保が顕著な急務事項となり、特に労働集約型産業は厳しい条件に直面していると言えよう。
また、現地への権限移行化やスピード感ある経営の意思決定なくしては、良い人材も集まらない時代に突入している。
タイは今まさに、高度技術・付加価値をもった企業及び事業の積極誘致、奨励付与だけでなく、タイ中小企業の海外投資促進の政策へも舵を切り始めている。