タクシン政権誕生以来、農村部の票を獲得する為、政府による米の高価買い取りが継続されて来た。しかし、在庫の処理が上手く行われず、古米の山を築き、これが現在4,000億バーツにまで膨れ上がっているという。財政圧迫の大きな要因であると言い続けられて来たが、未だに解決策が見出せていない。
先月には、商業相が遂に、米の購入価格をこれまでの1トン当たり1万5千バーツから、1万バーツ程度に引き下げると発表した。当然のこととは思うが、これに農民が大憤慨、抗議活動を展開し始めた。
一方、この古米の山を巡り多くの疑惑も浮上した。それは所轄の大臣が、どこにどれだけの在庫が保持されているかの質問に、明確に回答出来なかった為である。国の財政を圧迫する上に、その在庫がどこにどれだけ在るかが不明では、血税の使われ方として大問題と成る事は必至である。本件が今後のタイ政局の最大の争点、問題点となる様相を呈している。
09年からの家計債務は3年間で60%増大したとタイ中銀が発表した。09年に5.57兆バーツだった債務総額が、12年には8.81兆バーツにまで膨らんだというのである。所得に占める債務比率が40%程度であったのに、今は70%になっている。これに関連し、家計が貯蓄では無く、金、不動産、株式に向かっていると懸念を表明している。
国税庁は、法人税が30%から23%に引き下げられた影響で、法人税徴収額は約20%下がり、またVATも目標を8%下回ったと発表。今後、法人税がさらに20%に下がる事に懸念を表明した。
バラマキ政策による歳出の増加、景気を煽る為の法人税率引き下げ、これらの政策への国民の反応等、インラック政権は難しい舵取りを迫られる局面を迎えており、今後要注意である。