アジアの"いま"

辻本 浩一郎
2012/01/25 12:17
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日本の新聞を読んでいたら、来年度の国家予算は歳入42兆円に対して歳出が90兆円を越えるもので、且つ“良い予算組みができた”という政府コメントに今年も驚きを禁じ得ない。既に多額の借金をしているのに、更に上積みするという恐ろしい話である。通常なら42兆円でどうするかを論ずべきと思う。“隗より始める”との事だが、参議院は廃止・衆議院は減数・公務員人件費33兆円は半分にする、くらいのアドバルーンは上げて欲しいものである。

余談だが、タイの公務員給与は民間と比べて安いのに何故、彼等はやって行けるのであろうか。それは公務員のアルバイトが認められているからであろうと思う。即ち、タイの先生方は企業訪問を行って企業が必要とする資料を作成し、税務署や関税職員は違法行為を摘発し報奨金を貰い、軍隊は払い渋りの借金回収による礼金、警察は交通違反を取り締まり違反金をポケットに入れる等々のアルバイトをしているからであろう。

幸いというべきか、目下ギリシャを筆頭に欧州で良い先生たちが現れ出したと感じている。日本もギリシャのようになるのは目前と思う。失業者の増加、景気減速、円高、物価上昇、社会不安等々、諸問題を上げれば枚挙に暇は無い。新聞報道では、歳出削減のためにはまず社会保障費に手を付けるのが不可欠と書かれているが、それ以前に、独法、公益法人の全廃、天下りの根絶がなぜ出来ぬのか理解に苦しんでいる。海外で観察しているとJETRO、JICA等の廃止も対象となろう。その上で本当に必要なものは何かを改めて議論し、そのために何を消費税で賄うのかという議論になれば、非常に分かりやすくなると思うのだが、如何なものであろうか。

タイの国家予算はというと、歳入5.3兆円に対して歳出は約6.4兆円。今年は1兆円規模の借金をして洪水対策等に当てる必要が論じられているが、これでも議論が沸騰している。債務残高は約12兆円規模で、本年度の赤字1兆円、更に洪水対策1兆円を加えると、約14兆円となる見込みではあるが、それでも対GDP比45%以下で(国民一人当たり約20万円)、日本の212%、米国101%、ドイツ87%を下回り、健全財政を保っていると評価している。

海外から見ていると日本政府は借金に対して余りにも無頓着過ぎると感じる。ギリシャのような状態が目前に迫っているのに、無謀な予算組みに“良くできた”の評価…、遅かれ早かれ超インフレの時代が来ると考えると何とも恐ろしい。ある週刊誌の見出しに、『欧州の次は日本、今から備えなければ間に合わない。“国債”がクズになる日!280兆円消失で預金封鎖、生保は破綻、年金は国庫負担ゼロに、円の価値は半減、食料・ガソリンが暴騰する』とあった。ならばどうすれば良いかを、国会でもっと議論して欲しいものと感じている。次回の総選挙では、確実に歳出削減を実行してくれる政党を選びたいと思っている。

辻本 浩一郎
コンサルタント

M&A Advisory Co., Ltd.
Executive Manager


バンコク在住14年、タイにおける日系企業のビジネスを、進出支援全般を含め、特に法務、労務、会計・税務の面でコンサルティング、サポートしている。

M&A Group : http://www.m-agroup.com/


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