アジアの"いま"

鈴木 博
2021/08/12 12:57
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 7月15日、国連開発計画(UNDP)は、カンボジアの開発金融分析(Cambodia’s Development Finance Assessment)と題する報告書を発表しました。この報告書は、カンボジア国内での投資に利用可能な各種の資金の流れについて分析したものです。

 2020年の資金量については、新型コロナの影響で、影響がなかった場合と比べて、36億ドル(約3900億円)、19.8%の減少となったと推定しています。特に、税収減による歳入減(23.6%減)、海外直接投資の減少(31%減)、建設・観光・縫製等向けが大きな影響を受けた国内民間投資(4億1000万ドル減)等の減少が目立ったとしています。

 中期的に見ると、カンボジアの開発のための資金は、2025年には、2020年から倍増して234億ドル(約2兆5500億円)とGDP比69.8%にまで増加すると予測しました。資金の種類としては、歳入、国内民間投資、海外からの送金が重要度を増すとしています。これらの合計の対GDP比は、2020年の32.3%から、2025年には36%に上昇する見込みです。政府開発援助(対GDP比)は、2020年の7.9%から2025には7.4%に若干減少するとともに、贈与から借款にシフトすると見ています。

 カンボジア政府に対しては、短期的には、歳入徴収のための能力強化、リエル建て国債の発行検討、海外直接投資・国内民間投資の促進(税優遇措置や中小企業向け信用保証等)、歳出の再編(社会保障の拡充等)を提言しています。また、中長期的には、悪行税の導入(ギャンブル・タバコ・アルコール等への課税強化)、混合金融の促進、イノベーション・グリーン・気候変動対策向け資金供給の促進、人材・組織的能力強化、アカウンタビリティや透明性の向上等を提言しています。

国連開発計画の発表(英文です)

https://www.kh.undp.org/content/cambodia/en/home/library/cambodia-s-development-finance-assessment-.html

鈴木 博
コンサルタント

カンボジア総合研究所
CEO/チーフエコノミスト


東京大学経済学部卒。海外経済協力基金、国際協力銀行等で途上国向け円借款業務を約30年。2007年からカンボジア経済財政省上席顧問エコノミスト。2010年カンボジア総合研究所設立。日本企業とカンボジアの開発のWin-Win関係を目指して、経済調査、情報提供を行っている。

ブログ「カンボジア経済」 http://blog.goo.ne.jp/cambodiasoken


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